外国人の健康保険と年金 — 加入条件・保険料・帰国時の手続き
社保と国保の加入条件、2026年度の保険料の確認方法、帰国時の脱退一時金、納付が難しいときの相談先を公式情報で整理。
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この記事の内容
最初に確認すること
「3か月の旅行予定」と、在留カード等に書かれた在留資格・在留期間は別です。勤務先の保険、国保、年金をそれぞれ確認すると、窓口で聞くことを整理できます。
| 自分の状況 | 最初の確認先と聞くこと |
|---|---|
| 日本の勤務先で働く | 勤務先に健康保険・厚生年金の加入資格と加入日を確認 |
| 家族の勤務先の保険で扶養に入る可能性がある | 家族の勤務先に健康保険の被扶養者の資格を確認。年金の第3号は配偶者など所定の条件があり、子など扶養家族全員の区分ではない |
| 勤務先の保険や扶養の対象でない | 自治体に国保の対象かを確認。年齢・住所・年金の加入区分は国民年金窓口にも確認 |
| 短期滞在・3か月以下の在留期間、協定国からの派遣など | 在留資格・在留期間・滞在見込みを伝え、国保は自治体、年金は年金事務所へ確認。旅行日数だけで加入・免除を決めない |
手元に在留資格・在留期間、住所を定めた日、勤務開始日、現在の保険・年金の加入状況を用意します。確認後に必要書類をそろえ、対象の制度へ届け出てください。
勤務先の保険と国保の手続き
日本の健康保険と年金には、大きく分けて2つのルートがあります。
ルート1: 社会保険(会社員向け)
勤務先の健康保険・厚生年金の加入要件を満たす場合は、勤務先で加入手続きを行います。国保に加入していた人は、勤務先の保険への加入後に自治体で国保の脱退届も確認してください。
短時間労働者の月額賃金8.8万円以上という要件は、2026年10月1日に撤廃されました。対象事業所で週の所定労働時間が20時間以上・学生でないことなどの加入条件があります。企業規模だけでなく任意適用や勤務実態、最低賃金の減額特例に該当する場合の扱いもあるため、勤務先または年金事務所に確認します。
ルート2: 国民健康保険+国民年金(それ以外)
勤務先の健康保険やその被扶養者の対象でない人は、居住する自治体で国民健康保険(国保)の加入資格を確認します。外国籍の人は原則として在留期間が3か月を超える場合などが対象ですが、短期滞在者などは除かれ、3か月以下でも一定の在留資格・滞在見込みの証明による例外があります。目黒区の加入案内のように、自分の自治体の条件に沿って届け出ます。国民年金の手続きは別に確認してください。
国民年金の第1号被保険者は、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満で、第2号・第3号に該当しない人です。第1号の対象になったら14日以内に自治体の国民年金窓口へ届け出ます。厚生年金加入者は勤務先、条件を満たす被扶養配偶者は配偶者の勤務先で手続きします。特定の在留資格の除外条件や社会保障協定の適用があるため、国保の「3か月」の条件をそのまま年金に当てはめないでください。

どの健康保険の対象になるかは、勤務先での加入資格や在留資格などによって決まります。勤務先の健康保険の対象なのに手続きが進まない場合は、勤務先や年金事務所へ相談し、自治体にも現在の加入状況を伝えて確認してください。
国民健康保険の加入手続き——「自動」ではない
国保の加入には、住民登録とは別の届出が必要です。対象となる場合は、自治体の国保窓口で手続きを確認します。
手続きの流れ:
- 来庁前に、居住自治体の国保窓口で加入資格・必要書類・窓口の言語対応を確認する
- 在留カードや勤務先の健康保険の資格喪失証明書など、加入理由に応じた書類をそろえて窓口へ行く
- 加入届を記入して提出
- マイナ保険証への資格情報の反映や、資格確認書の交付方法・時期を窓口で確認する
届出期限は資格を取得した日から14日以内です。届出が遅れても、資格取得日まで遡って保険料が請求されます。転入届と合わせて済ませるのが効率的です。手続きの段取りは引っ越し後の区役所手続きで解説しています。「届け出てないから払わなくていい」とはなりません。
受診には、健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカード(マイナ保険証)または資格確認書を使います。厚生労働省の案内では、マイナ保険証を持っていない人には当分の間、申請によらず資格確認書が無償で交付されると説明しています。交付方法や時期は加入先の保険者で確認してください。
保険料はいくらかかるのか

社会保険の場合
厚生年金は標準報酬月額・標準賞与額に保険料率を掛けて計算し、事業主と被保険者が半分ずつ負担します。健康保険の料率は加入先などによって異なります。給与明細の健康保険・厚生年金・介護保険等の項目を分けて確認し、勤務先に自分の保険料を問い合わせてください。
国民健康保険の場合
国保の保険料は自治体によって異なりますが、基本的に「所得割(前年の所得に応じた額)」と「均等割(加入者1人あたりの定額)」の合計です。
新宿区の年度別の計算方法で確認できます。
国保は前年所得をもとに計算されるため、来日後に所得が増えると翌年度の保険料が上がることがあります。ただし、初年度が必ず低額になるわけではありません。所得がない場合も、必要な所得申告・軽減手続きを居住自治体に確認し、納付通知の年度と金額を確認してください。
自分の保険料を確認する手順(国保+国民年金)
国保の金額は年度・自治体・前年所得・世帯構成で変わります。新宿区は年度別の料率と保険料の概算早見表を公開しています。2026年度には子ども・子育て支援金分が加わっているため、過去の年度の表を現在の見積もりに使わないでください。
| 確認する項目 | 用意する情報 | 確認先 |
|---|---|---|
| 対象年度 | 保険料を見積もりたい年度 | 居住自治体の同じ年度の料率・早見表 |
| 前年所得 | 確定申告の控えや源泉徴収票 | 給与収入と所得金額を混同せず、早見表の区分に合わせる |
| 世帯の加入者 | 人数・年齢と軽減の適用 | 自治体の窓口。介護分は40〜64歳の加入者が対象 |
| 国民年金 | 加入区分と対象月 | 日本年金機構の保険料案内。国保と別に確認する |
新宿区の早見表を使えない場合は、前年所得がわかる資料を用意して区の担当窓口へ問い合わせます。他の自治体に住む人は、その自治体の表を使ってください。勤務先の健康保険・厚生年金に加入する場合も別の計算になるため、国保の見積額に一定割合を掛けて代用せず、勤務先へ確認します。
新宿区・30歳単身の国保計算例
2026年度の新宿区の料率で、国保加入者1人、30歳、算定基礎額100万円、通年加入と仮定した算式です。給与収入100万円という意味ではありません。算定基礎額は前年の総所得金額等から所定の基礎控除を差し引いた額です。
| 区分 | 公式料率による計算 | 年額の算式結果 |
|---|---|---|
| 医療分 | 100万円×7.51%+47,600円 | 122,700円 |
| 後期高齢者支援金分 | 100万円×2.80%+17,600円 | 45,600円 |
| 子ども・子育て支援金分 | 100万円×0.27%+1,873円 | 4,573円 |
| 合計 | 上の3区分を加算。30歳なので介護分なし | 172,873円 |
軽減・減免などや端数処理を反映する前の計算例で、実際の納付通知額ではありません。年度途中で加入・脱退する場合は、対象月数と精算額を自治体に確認してください。海外の所得がある場合も、扱い・換算・必要資料を窓口に伝えて確認します。年額を12で割った額と、納付書1枚の金額が同じとは限りません。
国民年金の場合
月額17,920円は第1号・任意加入者の保険料です。厚生年金加入者全員が、この金額を別に上乗せして納めるという意味ではありません。納付書が届いたら対象月と加入区分を確認し、勤務先の手続きとの重なりが気になる場合は年金事務所へ問い合わせてください。
国民年金の第1号被保険者・任意加入者の保険料は、2026年度は月額¥17,920です。支払いが難しい場合は免除・納付猶予の対象になるかを確認します。免除は全額・4分の3・半額・4分の1の4種類で、納付猶予は別の制度です。所得・年齢などの条件で審査され、学生には別の納付特例があります。
短い滞在・帰国前の確認
国民年金の第1号で、2026年度に全額納付する対象月が3か月なら、保険料の計算は月額17,920円×3=53,760円です。これは支払う保険料の例で、還付額ではありません。国保の加入月数・保険料は別に見積もります。
過去の対象期間がなく、今回の国民年金の対象期間も3か月だけなら、脱退一時金の6か月要件には届きません。短期滞在という名称だけで払い戻しを予定せず、自分の加入記録を確認します。
帰国が決まったら、自治体に国保の脱退届と必要書類、残額の納付・精算方法を確認します。年金の住所・加入区分の手続きと将来の受給・脱退一時金は、年金事務所へ別に確認してください。勤務先の保険を使っている場合は勤務先にも退職日・資格喪失日を確認します。
年金は「掛け捨て」ではない
日本を離れる予定なら、納めた保険料が将来どう扱われるかを先に確認してみてください。脱退一時金と社会保障協定では、利用条件や将来への影響が異なります。
脱退一時金
日本年金機構の脱退一時金案内で、自分の年金区分の条件と請求期限を確認してください。日本国籍がなく、公的年金の被保険者ではなく、日本国内に住所がないことなどが必要です。
国民年金は保険料納付済期間等が6か月以上、厚生年金は被保険者期間が6か月以上という違いがあります。老齢年金の受給資格期間を満たしておらず、障害年金などを受ける権利を有したことがないことも条件です。期限は原則として最後の被保険者資格喪失から2年で、その日に日本に住所があった場合は、その後初めて日本に住所を有しなくなった日から2年です。単に航空券の出発日から数えず、年金事務所で確認します。
脱退一時金の受取額の例
次は最後に国民年金保険料を納付した月が2026年4月〜2027年3月の場合の公式支給額の抜粋です。対象月数は保険料納付済期間等で、未納期間は含まず、一部免除の期間は所定の割合で計算します。
| 保険料納付済期間等 | 支給額 |
|---|---|
| 6か月以上12か月未満 | ¥53,760 |
| 12か月以上18か月未満 | ¥107,520 |
| 24か月以上30か月未満 | ¥215,040 |
| 36か月以上42か月未満 | ¥322,560 |
| 60か月以上(この年度の計算上限) | ¥537,600 |
最後に納付した年度が異なる場合や、厚生年金の加入者は別の計算になります。厚生年金は平均標準報酬額などを使うため、現在の月給だけから受取額を決めないでください。請求前に年金事務所で加入記録と金額を確認します。
脱退一時金を受け取ると、請求前のすべての年金加入期間がなくなります。社会保障協定による期間通算も含め、受取額と将来の年金の扱いを確認してから申請してください。

社会保障協定
日本年金機構の発効状況一覧で対象国を確認できます。対象国にはドイツ、アメリカ、フランス、カナダ、オーストラリア、韓国、中国、イタリアなどがあります。
この協定には2つの機能があります。
- 二重加入の防止: 派遣期間や国別の条件を満たす場合、二重加入を避けられる。適用証明書などの手続きを確認する
- 加入期間の通算: 両国での加入期間を合算して受給資格を判定できる
ただし、イギリス・韓国・中国・イタリアとの協定には加入期間の通算がありません。二重加入の防止のみです。自分の国と協定の適用範囲は日本年金機構の一覧で確認できます。
納付が難しいときと在留審査
厚生労働省の通知は、国保の収納情報を外国人の在留審査に活用するため、2027年6月から市町村と出入国在留管理庁の情報連携を開始できるよう準備を進めると案内しています。これは国保の情報連携の案内であり、国民年金を含む未納者全員の更新・変更が一律に不許可になるという判断根拠ではありません。自分の在留資格の申請書類・審査条件は出入国在留管理庁の手続案内で確認してください。
この情報連携の開始時期とは別に、永住許可の審査では公的医療保険・公的年金の納付状況がすでに確認されます。申請の種類に応じた証明書類を確認してください。
支払いが難しい場合は、納付通知を放置せず、対象の保険者や年金事務所へ早めに相談します。
申請しただけで承認されたことにはならないため、結果と適用期間、引き続き払う金額を確認してください。
病院での使い方
保険診療の自己負担割合は年齢・所得などで異なり、義務教育就学後から69歳は原則3割です。3割負担の人で保険診療分が10,000円なら、窓口では3,000円を支払います。予約料や自費診療などは別にかかります。
受診時のやりとり:
受付: 「マイナ保険証または資格確認書はお持ちですか」 あなた: マイナ保険証ならカードリーダーで本人確認。資格確認書なら受付に提示します。
加入済みでも受診時に資格を確認できない場合は、受付で事情を伝え、確認に使える書類や支払い方法を相談します。いったん全額を支払った場合の精算・療養費申請は、医療機関と加入先の保険者に確認してください。自己負担割合によって精算額も異なります。英語対応の病院を探すには英語が通じる病院の探し方も参考になります。
高額療養費制度
保険診療の自己負担が高額になった場合は、高額療養費制度の対象になることがあります。2026年8月診療分から月額上限の見直しと年間上限(8月〜翌年7月)が入りました。2027年8月から予定されている所得区分の細分化とは時期が異なります。上限は年齢・所得・診療月などによって異なるため、厚生労働省の改定案内と加入先の保険者で自分の区分を確認してください。差額ベッド代や食事代などは対象外です。
入院や手術が予定されている場合は、マイナ保険証で限度額情報を確認できるか、限度額適用認定証が必要かを医療機関と保険者へ確認しておくと、窓口での支払いを見通しやすくなります。
うまくいかない時
| 状況 | 対処法 |
|---|---|
| 会社が社会保険に入れてくれない | 勤務先の適用状況と自分の加入資格について年金事務所へ相談する |
| 届出期限(14日)を過ぎてしまった | 早めに自治体へ届け出る。保険料は資格取得日まで遡って請求される |
| 保険料が払えない | 国保は自治体へ納付相談。国民年金は年金事務所や自治体の年金窓口へ免除・猶予の対象になるか相談する。在留審査への国保情報連携の範囲は上の節を参照 |
| マイナ保険証がない | 加入先の保険者に資格確認書の交付方法・時期を確認する |
| 転職の間に空白期間ができた | 勤務先の保険の資格喪失後、国保などの対象になるか自治体へ確認し、国保対象なら資格取得日から14日以内に届け出る |
| 日本語が不安 | 日本年金機構が多言語の年金案内を用意している。居住自治体の言語対応も確認する |
別の方法
民間の医療保険に入ればいい?
民間保険は公的保険に追加する保障として検討できます。公的保険の加入対象かどうかは、勤務先の適用状況や自治体の加入条件で確認してください。民間保険を持っているという理由だけで、対象となる公的保険の届出を省かないようにします。
母国の保険でカバーできる?
海外旅行保険などの直接払い・立替払いの条件は契約と受診先で異なります。JNTOの受診案内を参考に、保険会社と医療機関へ対象の診療・支払い方法・必要書類を確認します。海外保険の有無と、日本の公的保険の加入資格は分けて確認してください。
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参考:
- 日本年金機構『国民年金保険料』
- 日本年金機構『脱退一時金の制度』
- 日本年金機構『社会保障協定』
- 新宿区『国民健康保険料の計算』
- 日本年金機構『短時間労働者の賃金要件撤廃』
- 厚生労働省『国保収納情報の連携に関する通知』
- 厚生労働省『海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)』
- 厚生労働省『高額療養費制度を利用される皆さまへ』
- 日本年金機構『保険料の免除制度』